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でも静注でいっている場合にはまだ効き得ますから、その時にはこれまでのメディケーションで必要でないものは取りながら、家族が国けつけるのに間に合うようにするようにしております。痛いかどうかがいちばんわかるのはちょっと力を入れて大胸筋を押しますと何か反応するようでしたら明らかに疼痛があるのです。
血圧は非常に大切です。血圧はコロトコフの1相、2相、3相、4相と全部音が違ってくるんですね、それがいよいよ悪くなると血管音は聞こえるのですが、コロトコフのフェーズの音の雑音が区別がつかなくなる。それは心服からの拍出が非常に弱っているからです。
それから大切なことは、普通チアノーゼがくると非常に悪いと言いますね、このごろは酸素を測ったりしますが、往診で酸素が測れないときにヘモグロビンが下がっている患者にはチアノーゼは起こらないですね、つまり炭酸ガスとつくヘモグロビンが少ないからです。だからチアノーゼがなくても循環不全は起こっているということです。爪の色を見ることも大切ですけれども、いま言った脈をみること、血管を聞いてみるといった総合的なことから死期がいよいよ迫ったというようなことが言えるわけです。
急に大出血をするような時は脈がばあーっと速くなります。どこかの腹腔や肝騒が破れるという時には脈が非常に速くなるとか、熱がぐっと高くなる。そういう時に熱が高いからといって解熱剤を坐薬でやりますとショックを起こします。熱が下がると同時に、急に悪くなるということがありますから、そういう時には、熱が出ても自然に、これはターミナルの条件だと考えたほうがいい。その時には意識もなくなっていますから、そう苦しくはないと思いますが、無理やりに坐薬で下げたりしますと思ったよりも早く死んで家の人が間に合わないということがあるということだけ追加したいと思います。
西立野 それではこれで第4回国際ホスピスワークショップを終わりにさせていただきたいと思います。皆さん長い間お疲れさまでした。

 

 

 

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